省エネルギー部会初代会長 柏木孝夫
(東京農工大学 教授(当時)) 

    エネルギーは、現代社会の基盤となる不可欠な要素の一つであり、わが国では「環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現すること」を、エネルギー政策の基本目標として掲げている。この3つの目標を同時に解決する唯一の手段である省エネルギーは、長期的エネルギー需給を考える上で、第一に実施すべき政策として位置付けられている。
    一方、わが国は1973年のオイルショック以来、省エネルギーに取り組んですでに大きな実績をあげており、今後さらに省エネルギーを推進してゆくためには、産業、運輸部門に加えて、特に、民生部門においてライフスタイルの変革を含めたエンドユーザー一人一人の省エネルギーへの努力が求められている。すなわち、今後の省エネルギー技術開発においては、エネルギー需要面における課題に則して、それを解決するために従来の工学、理学、経済学、法学といった学問分野の枠組みをこえた取り組みを図ってゆく必要がある。このように省エネルギー技術開発においては、分野間の連携、産学官民の連携が今まで以上に必要となっており、産学官の省エネルギー技術者、省エネルギー研究者が省エネルギーに特化した切り口から自由に研究成果を発表し、討論および情報交換を可能とするコミュニティの形成が求められている。
    日本エネルギー学会では、すでに「エネルギーの高効率利用と強力な省エネルギーの推進」をエネルギー技術戦略策定のための学会からの提言としてとりまとめており、このような学会の方向性に沿うものとして、産学官の省エネルギー技術者、省エネルギー研究者の連携を推進してゆくことを目的として以下の活動目標を掲げ、省エネルギー部会を設立する。

  1. 従来の学問分野の枠組みを超え、省エネルギー技術者、研究者の連携を推進してゆく核となる。

  2. 省エネルギー技術に関する産学官の連携から、需要側ニーズに向けて技術シーズの「実用化」、
    「導入・普及」の促進に貢献し、さらに、部門を越えた技術シーズの波及を目指す。

  3. 省エネルギー技術者、研究者の意見を集約し、環境と調和した新しいエネルギー需給構造、
    社会システムの構築に向けて、提言を発信してゆく。

  4. 理工学から経済学、法学まで、幅広い学問分野にわたり、横断的な知識の集約を必要とする
    「省エネルギー学」の学問体系構築を目指す。